2021年の演奏曲目と振り返り
2021年は、コロナウイルスが前年に比べて落ち着いてきた、と少し前までは書こうと思っておりましたが、オミクロン株という新手が世界全体に猛威を振るっております。依然油断ならない日が続いておりますし、コロナのために日頃戦ってくださっている医療従事者には本当に頭が上がりません。私自身もここで襟を正して、しっかりと感染対策をつづけてまいりたいと思います。
さて、毎年恒例になりつつある(恒例にしたい!)今年の振り返りと演奏曲目ですが、2021年は私にとって大きな出来事が二つありました。一つは4年間勉強させていただいたイタリア・イモラ国際ピアノアカデミーを卒業し、日本に完全帰国したことです。この4年間の期間は私にとっては一生忘れることのできない貴重なものとなりました。ヨーロッパで実際に生活して感じたこと、良いことも大変なこともたくさんありました。もちろん音楽を勉強しに行ったのですが、それ以上に人としての自分のこと、人間のこと、国籍のこと・・・本で学んだことを超えて、実際の目で見て感じたことは自分が思っていた以上に大きかったです。この4年で学んだことは音楽にも活かしていきたいですし、なにより今後生きていく上での糧として大切にしていきたいと思います。イモラ国際ピアノアカデミーでは4年間レオニード・マルガリウス先生のもとで勉強させていただきましたが、これまでの自分にはない文化、価値観、世界観で、良い意味でショックを受けました。しかし、いつも厳しくもあたたかく励ましてくださり、本当に良い師匠のもとで勉強できたなと心から感謝しています。
↑イモラアカデミーでの最後のレッスン後のマルガリウス先生と
また、もう一つの大きな出来事は、母校の東京藝術大学で非常勤講師として働くことになったことです。母校に恩返しができるという想いでとても嬉しく思いましたが、まだ自分には早いのではないかという不安もありました。実際始めて見ると、音楽のことをわかりやすく言葉にして説明することの難しさを身をもって痛感しました。しかし、とても生徒とのキャッチボールは刺激的ですし、やりがいがあり、この立場から新たな音楽像が見えることもわかりました。
日々勉強だな、と学生時代より身に染みて感じます。言葉や行動一つ一つが将来の自分を形作っていくのだと信じ、音楽家兼社会人として責任感をもって頑張っていきたいと思う2021年の年末です。
本年も多くの出会いがあり、大変お世話になりました。2022年もどうぞよろしくお願いいたします。
2021年12月31日
西村翔太郎
※作曲家時代順に記載しております。作品名の後にカッコで年内の演奏回数、また初めて舞台で演奏した作品(初出し)については(初)と付けております。
【ピアノソロ・デュオ】
J.S.バッハ:
イタリア協奏曲 BWV971 (1)
ハイドン:
アンダンテと変奏曲 へ短調 Hob.ⅩⅦ:6 (2)
ベートーヴェン:
ピアノソナタ第13番 変ホ長調 op.27-1「幻想曲風ソナタ」(2)
ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 op.27-2「月光」(3)
ピアノソナタ第17番 ニ短調 op.31-2「テンペスト」(2)
ピアノソナタ第21番 ハ長調 op.53「ワルトシュタイン」(2)
ピアノソナタ第28番 イ長調 op.101 (1)
メンデルスゾーン:
無言歌集より
ヴェネツィアの舟歌 ト短調 op.19-6 (1)
ヴェネツィアの舟歌 嬰へ短調 op.30-6 (1)
ショパン:
即興曲第4番 嬰ハ短調 op.66「幻想即興曲」(2)
舟歌 嬰へ長調 op.60 (2)
シューマン:
4つの夜曲 op.23 (初)
幻想小曲集 op.12 より
No.1 夕べに (2)
No.2 飛翔 (2)
リスト:
巡礼の年第2年「イタリア」より
ペトラルカのソネット第104番 (1)
ダンテを読んで~ソナタ風幻想曲~ (2)
スケルツォとマーチ S.177 (2)
リゴレット・パラフレーズ (2)
パガニーニによる大練習曲より 第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」(3)
チャイコフスキー:
組曲「くるみ割り人形」[連弾版] (初)
ラフマニノフ:
絵画的練習曲集「音の絵」op.39
No.1 ハ短調 (3)
No.2 イ短調 (3)
No.3 嬰へ短調 (初)
No.4 ロ短調 (初)
No.5 変ホ短調 (初)
No.6 イ短調 (初)
No.7 ハ短調 (初)
No.8 ニ短調 (初・2)
No.9 ニ長調 (2)
ガーシューイン:
ラプソディー・イン・ブルー[連弾版](初)
【協奏曲・合奏曲】
ピラティ:弦楽とピアノのための組曲 (初)
[弦合奏:東京ヴィヴァルディ合奏団]
リスト:ピアノ協奏曲第2番 S.125 (初)
[イモラ国際ピアノアカデミー Diploma試験]
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 op.18
[指揮:渡邉康雄 管弦楽:春日部フィルハーモニー管弦楽団]
【新曲初演】
「未来の作曲家コンサートin東北 2021」
高橋遥香:海(Pf.)
吉田心穂:さよならトラクター~Another story of Okuma~(Vn. Pf.)
鈴木里実:丘の上の空(Pf.)
五十嵐朱莉:花明かり(Pf.)
菊田あかり:オリーブ~出会いのメロディー~(Vn. Pf.)
斎藤楓:雪月夜(Vn. Pf.)
後藤優治:航海(Vn. Pf.)
庄司温翔:二重奏曲(Vn. Pf.)
松邑直樹:千草鼠(Vn. Pf.)
平尾友:赤い椿(Vn. Pf.)
近藤碧:変容~無伴奏ヴァイオリンのための~(Vn.)
【アンサンブル】 (初めて共演した作品のみ)
サン=サーンス:タランテラ op.6 (Fl. Cl. Pf)
ボルヌ:カルメン・ファンタジー(Fl. Pf.)
ドビュッシー:美しき夕暮れ(Cl. Pf.)
C.P.E.バッハ:フルート・ヴィオラ・ピアノのための四重奏曲(Fl. Va. Pf.)
ドビュッシー:フルート・ヴィオラ・ハープのためのソナタ(Fl. Va. Pf.)